松阪市立西黒部小学校いじめ防止基本方針
平成26年7月
1 いじめの定義といじめに対する本校の基本的な考え方
【いじめの定義】
「いじめ」とは、当該児童と一定の人的関係にある他の児童が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童が心身の苦痛を感じているものをいう。
「いじめ防止対策推進法」より
【基本理念】
いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、心身の健全な成長や、人格の形成への重大な影響のみならず、児童生徒の生命や身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるもので、重大な人権侵害にあたるものとして認識しています。したがって、本校では、すべての子どもがいじめを行うことがないように、また、他の児童に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないように、さらに、そうした間違った行動を許すことがないようにするため、教職員自身や児童自身のいじめ問題に対する理解を深めながら、人権尊重の精神を貫いた教育活動を展開し、いじめを許さない学校づくりに向けていじめ防止等のための対策を行うこととします。
2 学校におけるいじめ防止等の対策のための組織
いじめの防止等の取組を実効的に実施するため、次の機能を担う「いじめ防止対策校内委員会」を校内に設置する。
(1)いじめ防止対策校内委員会の構成員
校長、教頭、教務、生活指導担当、人権教育推進担当、養護教諭、該当学年等
※必要に応じて、スクールカウンセラー、ハートケア相談員、PTA役員、学校評議員等
(2)いじめ防止対策校内委員会の活動内容
①生活指導年間計画の作成・実行・検証・改善に関すること
②いじめ防止に係る研修会等の企画・運営に関すること
③いじめの未然防止に関すること
④いじめの早期発見に関すること
⑤いじめの早期解決に関すること
3 いじめ防止等の対策のための具体的な取組
(1)いじめの未然防止のための取組
いじめはどの子どもにも起こりうるという事実を踏まえ、全ての児童を対象に、いじめに向かわせないための未然防止に取り組みます。
【具体的な取組】
①子ども一人ひとりがわかる授業づくりに取り組みます。
・ すべての教員が公開授業を行い、互いの授業を参観し合う機会を位置付け、全校体制で子どもの様子を観察するとともに、授業改善につなげるようにします。
・ すべての子どもに基礎・基本の学力が身につくように、繰り返し学習や計算の反復練習等に取り組み、学力テスト等の結果も活用し、授業改善に取り組みます。
・ 授業のルールとして作成した「学習のやくそく」や「聴き方・話し方のルール」「発表の仕方」や、「課題解決のためのヒントカードの活用」「めあてと振り返り活動の徹底」等について、すべての教職員が共通理解した上で取組を進めます。
・ 誰にでもわかるように説明したり、他者の説明を聞いたりすることでより理解を深める等、互いに学び合う授業づくりに取り組みます。
②人権尊重を基盤にしたなかまづくりに取り組みます。
・ 生活委員会が中心となり、一人ひとりがいじめをなくすための宣言文を考え、「ともだちせんげん」として発表しながら取り組みます。
・ いじめは対人関係における問題であるという視点に立ち、社会性やコミュニケーション力を育てるために、社会体験活動や交流体験活動に取り組みます。
・ 発達障害のある子どもがいじめにあったり、不登校になったりしないように、発達障害が正しく理解されるような取組を推進します。
・ 体験活動を通して、友だちと分かり合える楽しさや喜びを実感させるとともに、表現力やコミュニケーション力を育成します。
・ 集会や学級会、なかよし班活動、様々な行事を通して、児童自らが人と関わることの喜びや大切さに気づき、互いに関わり合えるようなかまづくりを進めます。
・ すべての教科・領域の中で、なかまづくりを基盤にすることが大切だという認識のもと、意図的に子どもと子どもをつなぐしかけや、よさを見つけ合える機会を手立てとしてもちながら日々の授業づくりに取り組みます。
・ 学級満足度調査(Q-U)を年間2回実施し、その結果からわかることを全教職員が共通理解し、子どもたちの学級に対する満足度や意欲を継続的に把握し、集団としてよりよい方向に向かっていくよう全教職員が取り組みます。
・ 道徳の時間に「心のノート」(三重県版)や「わたしたちの道徳」等を活用し、違いを認め合うことや、自己指導能力を高めること、人権尊重の精神や命を大切にする気持ち、思いやりの心を育てます。
・ 様々な授業において、子どもの発達段階やねらいに応じてペア学習やグループ学習を取り入れ、少人数の中で学び合うことで互いの考えのよさや共通点に気づき、違いを認め合い、互いに高め合うなかまづくりを進めます。
・ 自尊感情を育み、対人関係能力を高めるため、自分と他者では思いや考えが違うことに気づかせるとともに、他者から認められる自分の存在に気づくような教材や手立てを選んで実践します。
③家庭や地域と連携した取組を進めます。
・ 情報モラル教育を推進し、保護者と児童が「インターネットの利用」や「携帯電話の使用」のルールづくりを親子で考える機会をつくっていきます。
・ 「学校いじめ防止基本方針」を地区懇談会等で配付して説明するとともに、いじめの未然防止、早期発見・早期解決における学校の役割、家庭の役割、地域の役割についての理解を図ります。
・ 地区懇談会や人権講演会及び学級懇談会を開催し、教職員と保護者が、子どもたちの人権を守るためにできることをともに考えます。
(2)いじめの早期発見のための取組
いじめをできるだけ早期に発見するためには、いじめを許さない学校づくりを進めるとともに、児童が発する小さなサインを見逃すことがないよう日頃から丁寧に児童生徒理解を進め、早期発見に努めることが必要です。そのためには、表面の行動に惑わされることなく内面の感情に思いをはせ、児童が示す変化やサインを敏感に感じ取ることが大切です。アンケートや面接を通して、児童の思いを把握し、信頼関係を日常的に築く等、いじめを積極的に認知するよう努めます。
【具体的な取組】
①いじめを相談しやすい体制を整えます。
・ 教師と子ども、子どもと子どもの信頼関係を深め、児童が悩みごとを一人で抱え込まず、誰かに相談できるようにします。
・ 日頃から児童の見守りや信頼関係の構築に努め、児童と向き合うことにより、児童が示す変化やサインを見逃さないようアンテナを高く保ち、教職員間の連携や共通理解を図ります。
・ 専門的な相談が必要な場合、スクールカウンセラーを要請し、児童や保護者、教職員による教育相談日を設けます。
②いじめを正確に把握します。
・ 「児童のささいな変化に気づくこと」、「気づいた情報を確実に共有すること」、「情報に基づき速やかに対応すること」を基本とし、いじめの把握に努めます。
・ 5W1H(いつ、どこで、だれが、だれと、何を、どのように)を職員がいつでも情報共有できるようにします。
・ 授業の様子、保健室の様子、休み時間の様子等、多面的に協働的に、より多くの教職員が児童を見守り、情報を共有するようにします。
・ いじめのアンケート調査に加え、連絡帳や日記(生活綴り方)、日頃の声かけ等により、児童の悩みや人間関係等を把握します。
・ 年2回の学級満足度調査(Q-U)を活用し、「いじめや冷やかし等の不快行為を受けていないか」等について把握します。
③家庭、地域と連携して取り組みます。
・ 日頃から、子どもを中心に据え、保護者、地域との信頼関係を築き、円滑な連携を図るように努めます。
・ 家庭訪問により、子どもや保護者との信頼関係を構築します。
・ 子どもや保護者からいじめの相談があったときは、速やかに対応します。
・ PTA家庭教育部会での活動等を通して、家庭での子どもの見守りの大切さについて学び合う機会をもちます。
(3)いじめの早期解決のための取組
いじめの発見・通報を受けた場合には、特定の教職員で抱え込まず、速やかに組織的に対応し、被害児童の心身の健全な発達を損なうことがないよう、教育的配慮の下、毅然とした態度で指導します。
【具体的な取組】
①いじめの解決に向け取り組みます。
・ いじめと見られる行為を認めた時は、当該職員がいじめ防止対策校内委員会に報告し、速やかに事実関係の調査を行い、全職員が情報を共有します。
・ 情報収集を綿密に行い、事実確認をした上で、いじめている側の児童に対しては、毅然とした態度で指導にあたります。
・ いじめの解決に向けた取組は学級担任だけで抱え込むことなく、全教職員が指導方法を共通理解した上で役割分担し、迅速な対応を進めます。
・ インターネット上の不適切な書き込み等に対しては、被害の拡大を避けるために、ただちに管理者に対し削除要請を行います。
・ いじめている子どもの特定ができたら、個別に指導していじめの非に気づかせ、被害者への謝罪の気持ちを醸成させます。
・ 傍観者である児童に対しても、いじめている側の立場と同様であるということを厳しく指導します。
・ いじめの再発防止のために、いじめた児童はもちろん、傍観者であった児童に対しても、いじめられた児童の苦しみや痛みに思いを寄せる指導を十分に行い、「いじめは決して許されない行為である」という認識をもつよう指導します。
②いじめを受けた子どもや保護者等を支援します。
・ いじめを受けた児童や情報提供してくれた児童を複数の教職員で見守る等、生命と安全の確保をします。
・ いじめられている児童の身の安全を最優先に考え、「絶対に守る」という学校の意思を伝え、心のケアと合わせて登下校時や休み時間、清掃時間等の安全確保に努めます。
・ いじめを受けた子どもの保護者に、学校の取組についての情報を的確に伝えるとともに、保護者からは家庭での様子や友だち関係についての情報を聞きとり指導に活かします。
・ いじめを受けた児童とその保護者の了承を得て、再発防止のねらいを含めた関係学年全体への指導を行います。いじめが解決したと思われた後も、いじめが継続することのないよう、定期的に話し合う機会を持つなどの配慮をします。
③関係機関との連携
・ 必要に応じて、松阪市教育委員会学校支援課、育ちサポート室、子ども支援研究センター、人権まなび課、青少年センター、家庭児童支援室、中勢児童相談所等の関係機関と連携して、いじめ問題の早期解決を図ります。
・ 犯罪行為として取り扱われるべきと認められる事案については、教育委員会に連絡を取り、警察と相談して対処します。
・ 児童の生命、身体または財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに警察に通報し、適切な援助を求めます。
4 重大事態への対処
いじめにより児童の生命、心身、財産等に重大な被害が生じた疑いがある場合、直ちに松阪市教育委員会に報告し、教育委員会と連携しながら専門家を加えた当該事案に対処する組織を設置します。そして、当該組織が事実関係の調査を行い、明らかになった事実関係をいじめを受けた児童及びその保護者に対して適切に提供し、調査結果を踏まえた必要な措置を講じます。